ふるさと納税論

August 13th, 2017

ふるさと納税がだいぶ問題になってきたようだ。恥ずかしいことに僕はこの制度についてこれまでずっと興味がなく、ほどんど理解していなかった。さすがに気になってちょっと勉強してみて、なるほどこりゃひどいね!と初めてわかったのが今週の話である。

おさらいすると、例えば10万円をどっか返礼率の高い地域に払えば(名目は寄付)、9.8万円の税が控除され、実質払うのは2000円だが、3万円とかの返礼品がもらえる。寄付された自治体は、その3万とか(地域によっては10万のうち5万以上のところも)を地域企業に回した上で、残った7万円がサイフに入る。9.8万円を負担するのはその20%が国、80%が住んでるところの自治体。つまりこの場合は9.8万が国と東京とかから地方自治体と地方企業(と、ふるさと納税した人)に移される。自治体はひたすら返礼率を上げれば金が集まってサイフが潤うのでやらなきゃ損。個人もどこでもいいから返礼率の高いところを選んで払えばトクをする。自治体も納税者も、そりゃあやるしかないよね!という仕組み。返礼品を自治体に買ってもらって潤う地域の事業者もシャブ漬け的な方向に引っ張られてそれが切れたときには経営のバランスを崩す仕組み・・

まあ明らかにマズいだろという話なんだけど、僕は役人たちは決してバカじゃないと思ってるので、きっと今の制度をつくった人たちの主張を聞けば「おぉ、なるほど」と思えることが色々あるに違いなく、だからそういう話を教えてくれる人がいたらぜひ教えてほしいと思っているところである。

だけど僕自身、今のところこれについては「おれはやんないね」というスタンスである。やった方がトクなのはわかってるし、自分のルーツである山形にでも払えば山形のサイフに入るのは悪くない。でもやらないのはなぜか考えてみると、単に面倒くさいというのに加えて、やっぱり自分が正しい仕組みと思えないからだろう。納得感のないことでトクを求めて動いているとダメ人間になる=セコい感じの人間になっていく=気づかぬうちにカッコ悪いやつになっていくと思ってるから。そして正直なところその裏には、いけてないことはしないぜ、というスタンスをとることが、自分の納得感だけじゃなくてどこかでリスペクトされたい(or かっこつけときたい)心情とつながってるというのがある。

つまり僕は数万円とか10万円とかのトクよりも納得感とかリスペクトをとっていることになる。それはある意味アホで、ある意味マトモなのかもしれないのだが、こういうのは誰にもあるものだ。人はトクだけで動かない。甲子園まで出たところでお金にならないし大抵はプロにもなれないけど頑張るわけで、あるいは釣りをいっぱいやっても儲からないし、結婚して子供つくったらトクするってわけでもない。楽しい幸せ気持ちいい、を人は金を払っても買うわけだし、トクした分を何に使うかといえば安心とか快楽とか、場合によっては社会貢献にさえ使う。当たり前だがトクのためにトクを求めるのは誰しもゴールじゃない。世界はそうやって回ってる。

要は、ふるさと納税はひたすらトクを動機にした仕組みにしなくても、金はちゃんと動くだろという話である。それとももしかするとやっぱり「気持ち」なんかじゃ人は全然動かないんだよ、というのが役人さんたちの冷静な分析なんだろうか。あるいは「動機がなんでも動かすことが大事」とか、はたまた「まずはヤバいネタでバズらせて注目させて国民の意識を社会制度に向けさせたうえで正しい仕組みに変えて誘導するのだ」という作戦なんだろうか・・

そうならばすごいねとも思うし、確かにトクすることに人はドカっと動くとは思うけど、一方でしかし、ふるさと納税の額というのは数年前まで100億ちょっとで、2015年にいきなり増えて1500億。これは大きいようで小さい。国から地方に配られるお金は毎年35兆円とかあるわけで、地方がやばいからもっと分配しないとサービスの格差ができすぎるぞということならば、交付金の配り方をこっそりちょっといじればいいじゃん、とも思える。どちらかといえばメッセージ、意味性じゃんと。国や大都市から地方へのお金の分配に、応援投票で国民の意思を加えるという、意味。

普通に考えれば、自分の愛着ある田舎に対して、直接的にトクではないけど納税するっていうのが自然であって、さらにいえば「体育館をつくるために母校に寄付を!」と同じように、この施策をやりたいから頼むぜ!というクラウドファンディング的なイメージの方が筋がいい。

そんなん理想論だねということならば、あえてわかりやすくリスペクト欲を刺激することを考えてみる。ふるさと納税をした人はその額の1%とかはマイナスになるけど、その払った率(額じゃなくて収入に対する率)と理由を公表し、納税した人はトクはしないけど地元では褒められる。地域の産物を買うとさらにポイントが上がって褒められる。とか。まあこれはちょっと現実的じゃないのかもしれないけど、とにかく意識を健全にする力学にしとかなきゃいけないでしょと。そもそも量的な目的じゃないんだから。

そもそも消費税も、個人の所得税も法人税もいったん国にいくわけで、それが地方の公共サービスの財源に配られるのは真っ当だし、商売のチェーン化やネット化が進んで都会に本社がある企業の売上シェアが上がっていけばお金は中央にますます集まり、地方に配る金額が大きくなるのも必然ではある。だけどやっぱりトクを主軸にしてしまうとロクでもないことになるだろう。長期的に意味ある努力をする地域が潤うように、ただの損得以外の目的を創り出し増幅させる方が多分いい。

おそらくこの制度は近々にマイナーチェンジされたりするんだろうけど「問題でてきたのでちょっと変えます。いやもともと根本的にはいい仕組みなはずなんだけどね」って感じでプライド守ってマイナーチェンジするんじゃなくて、「すいません!ばしっと変えます!」と言えるリーダーの方がいけてると思う。そうして日本のノリというかカルチャーというか空気が変わるきっかけにでもなれば、これも悪くなかったな、と思える、かもしれない。

ということで、半分自分の勉強メモなもので、すでにわかってる人にとってはあんまり意味ない話で失礼しました・・





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