NYと東京

October 26th, 2017

先日あるイベントで、ブルックリンで活動しているプランナーと話す機会があった。ブルックリンというと、かつて危ない感じだったエリアがすっかりオシャレになって・・賃料も上がって云々、という類の話が多かったが、最近はテック系のネタが多くなった。造船や物流の施設なんかを再生したりしてIndustry cityやNewLabなどの大規模な拠点ができ、それらを中心としてテック系のベンチャーたちがどんどん集まって新たな生態系ができていると。(そしてその界隈では、技術やビジネスの話、あるいはエンジニアやビジネスマンの人たちが、いわゆるクリエイティブ界隈の人々やトピックとすっかり混ざっていってる感じがある)

そこで参加者から「日本だと湾岸あたりは同じような大規模オフィスやタワマン開発がやたらさかんで、ブルックリンのリバーサイド開発の流れとだいぶ違う感じですけど、その違いはなんなんでしょう?」と問われて以下のように答えた。

戦略性の違いですかねぇ。両方とも「都市の競争力を高めよう」っていう話なんだけど、東京の場合は都市再生特別措置法とかで「とりあえず容積率を上げる」ということをした。床を増やせばきっと強くなるという理屈。
ニューヨーク市はリバーサイドにイノベーション集積をつくろうとし、そのための場所をコンセプトを明確にして戦略的に開発し、国内外から頭脳を集めている。不動産投資の視点からすれば高層タワーをつくった方が短期的な利益はもっとも大きくなるわけだけど、そんなことは都市の競争力や経済を強化する上でのインパクトとしては知れていると。これから伸びまくる新しい産業を集める方がでかいっしょ、みたいな。
日本は土建勢力が強い政治的構造もあるだろうが、それを除いてもセンス的に問題がある。

日本ではよく、グローバルな都市間競争の時代だから東京には人がもっと集まるべきだ、的な話がよくある。自分としては東京にこれ以上人が集まってはいけないと言うつもりもないんだけど、人数が集まりゃ勝てるような類の競争かよ?!という話。別にシンガポールの人口が多いわけじゃないし。

この話は本質的にはハード的な規模より質であって、一定の質のために一定の数は要るという話であって、この順序が逆になってる話がいまだに多い。さらにいえば本来は、東京にはないけど地方にもあるもの(安いとか広いとかも含め)をうまく互いに生かすような全体の関係なりかたちなりをつくっていく発想であるべきなのであって、なのに「東京のイシューと地方のイシューは異なる」みたいな話になることが多いのは変な感じ。

品川や豊洲はまだしも、お台場とか有明みたいな場所にぽつんぽつんとマンションだけつくられていく東京のデザイン力・戦略性はやっぱりまずいなということで、いろいろ提案もしていきたいと思っております。





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