自分の家

March 5th, 2013

今やっている展覧会「housevision」の中で僕らが提案したのは、自分で編集する家、という考え方だ。これからは既存の住宅をリノベーションするのが当たり前の選択肢になるという前提の上で、ハコをまずはいったん初期化しスケルトンにした上で、自分の暮らし方に合った空間を編集しようというものだ。そこで展示の半分は”編集”の一つの例を形にし、もう半分はR不動産toolboxのショールームのような空間にしている。今回の展示の具体的な計画・デザインには僕自身はほとんど貢献していないのだけど、その背景の思いをちょっと話してみることにする。

僕らが今やろうとしているのは、これからのスタイルはこうだ!と、いわゆる空間のデザイン自体を提示することではなく、「自分だけの空間を創るための仕組み」をつくることだ。見栄が意味を持たなくなる時代には、金さえあれば誰もが持ち得る高いモノや、人が考えたカッコいいものよりも、自分ならではの意味があるモノでなければモノを持つ意味がなくなるだろう。そのための場所(物件)と出会うための「R不動産」の次には、家の中をつくりこむための仕組みとしての「toolbox」ということになる。

あらゆるモノはどんどん人間の手を離れて機械的につくられるようになった。そこでの進化と同時に、失ったものもある。昨日も古いイギリス映画を眺めていて、この頃の家は温かいなと思ったりもした。しかし、だからといって「昔はよかった、昔に戻ろう」というようなことを言いたいのでは、ない。itunesにはアナログレコードの味わいはないけれど、新しい楽しさと利便があり意外な出会いも生まれる。人はいつも未来へ向かう進化と過去の懐かしさと、その両方に魅力を感じるものだ。そしてとにもかくにも進化していく。人は子供の頃には大人になりたいものであり、大人になると若いころはよかったなと思ったりもする。失うものもありながら、大人の世界は広がって行く。大事なのは、大人になっていっても本能や遊び心を失わないことだと思う。進化は続いていくけれど、この先の未来は人間性を無視できない。

自分のための空間は、自分だけのものじゃないかもしれないし、一つじゃないかもしれないし、ずっと持ち続けるものでもないかもしれないけれど、その時の自分にとって意味があるものであるべきだし、そして五感に触れるものであるべきだ。忙しくて便利すぎる今、そういうものをつくるのはなかなか大変で、だから仕組みが必要になる。いいアイディアが共有され、定番モノもハンドメイドも同じように出会え、ウソのない情報があり、楽しく少しずつ編集できる・・そうして愛着やストーリーが生まれていけば、僕らはもっと気持ちよく生きられる。。そういうことがフツウに起こる世界へ進化するために、知恵とテクノロジーを活かしていかないといけない。・・とか、言うは易し、だけど。





  1. 林さん、色々と考えるコトが多いです。

    March 13th, 2013 kainob
  2. 物作りを、忘れると淋しい。物作りを続けていると、楽しいし、頼んでくれるクライアントと、一緒に考え、作る。楽しいですよ。

    March 23rd, 2013 アルティザン建築工房 アラヤ
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