June 22nd, 2017
築地豊洲の話について思うところを書いておくことにした。
先日の小池さんの方針に対しては、多くのディスりや多少の賛同意見が出ているようだが、とにかく世の中には部分的な情報や理解しかなくても自信をもって断定的な意見を言う人が多いんだなあと改めて思った。
印象意見を言うのは悪いことではないけれど、全体観なしに是否を断定するということは、判断に必要な視点が足りてないことに気づいていないパターンか、「細かく見るまでもなく明らかにこうだろ!」というパターンかどちらかなんだろう。でもそもそも最初からどっちかの味方ありき的な、バイアスのかかった意見が多いんだなあ、そういうのはダサいなあ、とは思った次第。
築地の話はこの2ヶ月ほど関心を持っていたので、この問題はかなり多くのポイントをよく分析しないと正しい判断には至らないものだということ、そして「客観的に明らかにこれがベストだ」と言える選択肢があるような単純なものではないんだということはわかってきた。
以前に僕はここ(http://atsumispeac.net/847)に仲間とつくったラフな仮説のようなものを書いた。簡単に言えば市場機能は基本的に豊洲へ、ただし豊洲は過剰サイズだから将来の民間賃貸も含めて運営収支を改善する工夫をする、築地はその文化価値(主として目利き価値)をなくさない方法を築地において追求したい、ただし(築地は)その大半の空間ポテンシャルを開発または権利売却によってできる限り回収する、というものであった。これは今回の小池方針と割と近いところがある。ただ、市場が築地に「戻る」なのか「戻る部分が多少あるかもね」なのか、そのあたりの意図がわかりにくいので、それによってだいぶブレる話ではあるし、そもそも自分の知ってる情報は不十分なので、ちゃんとした判断まではできないわけだけど。
僕は先日の小池方針については超総論的にはポジティブなんだけど、疑問や懸念不安はいろいろあるし、何にせよ小池さんの言い方・出し方はいまいちだったように思う。今回の発表に至る流れ、今回の話における言葉使い(ブランドって軽く言い過ぎ!とか、ワンダーランドってダサい!とか)もそうだが、今までの検討や発信のプロセスも含めて、やっぱり批判が湧いてもしょうがないよな、と思う。確かに一連の流れと言い方だと「選挙しか考えてないだろ」「中途半端で二兎追うんか」と、いかにも言われそうな感がある。でも僕自身は、この方針自体が保身だの選挙対策だのといったことだけでできたものではなく、都としてベストな判断をしようというまともなスタンスがあってのものだろうとは感じている。
不安というのは一言で言えば「ゴールの姿がちゃんとイメージできてなさそう」ということ。それは豊洲の今後の利用形態についてもそうだが、それ以上に築地の今後の開発にどのようなエッセンスと戦略が必要であるかの本質的なイメージがまだなさそうに感じること、そしてそれが良い形で見えたとしても、今の都の体制や構造的に、実現のハードルがめちゃ高そうであることも。僕は今回出た方針が、うまくできればよい答えになる可能性があるように思っているけど、下手するとだいぶマズくもなるものだと感じている。(むしろこの基本方針てDay1仮説だよねみたいな)
ともかくこの話はなかなかに複雑で、豊洲の収支にしてもシミュレーションの設定によって数字はかなりブレるし、市場機能以外のかたちまで含めるならばなおさらである。築地の再開発も、そのやり方次第で経済価値はめちゃくちゃブレるし(ただのオフィス開発とかじゃないので・・)、文化価値ブランド価値っていうのも長期的な潜在価値の算定はされていない。土地を貸したら地代160億とかいうのも多分もっと低い気がするし、もちろん未来の変動もある。築地売らないで金はどうするんだ!という議論にしても、バランスシート的な話で言えは土地で持つか金で持つかという話であって、あくまで利回り比較じゃんという見方もありえるだろう。もちろん都が築地土地を担保にしてもファイナンス不可能だというなら別だけど。
どのような形とプロセスでブランドの源泉(仲買の力)を活かしていくべきかも、市場機能を分けることがいかなるかたちで可能なのかについても、まだ具体性のある説明は見たことはないので、そこがわからないと安心はできないなといったところ。
築地豊洲の話は、そうした諸々の「まだ見えてない」前提次第でまだまだ大きく結論が変わってもおかしくない問題に思える。僕としてはそれらの色々なイシューについてどんどん検証と公表が進んで、長期的な最適解がやっぱりここにあるね!と思える状況に早くなったらいいなと思うし、自分でも掘ってみるつもりである。
話は戻るが、最初からどちらかに味方する前提の意見ばかりといのは、加計学園の話も同じだと感じている。自民党や安倍さんは、反対派が言うほど悪意に満ちてはいないように思う。たしかに公共事業を見ていると、ある程度「この案件はここがやるように仕向けていこう」というのがないと何でもかんでも「安い方で決まり!」となっちゃうね・・っていうのはいつも思うことではある。しかし今回のはコネや忖度の要素は少なからずあっただろうし、それは当然批判されるべきで、「政治とはそういうものだ、官僚だけに任せていては正しいことも進まない」と言ってしまっては世の中の成熟は進まない。ちゃんと批判して、でも突っ込むだけの野党もちゃんとディスされて、それらを通して選挙して、一時的には「あちゃ〜」的な政権になっても仕方ないとも思っている。
いずれにせよ市場の件は、面白く新しいなにかが生まれることを願ってます・・
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築地の話
June 22nd, 2017
築地豊洲の話について思うところを書いておくことにした。
先日の小池さんの方針に対しては、多くのディスりや多少の賛同意見が出ているようだが、とにかく世の中には部分的な情報や理解しかなくても自信をもって断定的な意見を言う人が多いんだなあと改めて思った。
印象意見を言うのは悪いことではないけれど、全体観なしに是否を断定するということは、判断に必要な視点が足りてないことに気づいていないパターンか、「細かく見るまでもなく明らかにこうだろ!」というパターンかどちらかなんだろう。でもそもそも最初からどっちかの味方ありき的な、バイアスのかかった意見が多いんだなあ、そういうのはダサいなあ、とは思った次第。
築地の話はこの2ヶ月ほど関心を持っていたので、この問題はかなり多くのポイントをよく分析しないと正しい判断には至らないものだということ、そして「客観的に明らかにこれがベストだ」と言える選択肢があるような単純なものではないんだということはわかってきた。
以前に僕はここ(http://atsumispeac.net/847)に仲間とつくったラフな仮説のようなものを書いた。簡単に言えば市場機能は基本的に豊洲へ、ただし豊洲は過剰サイズだから将来の民間賃貸も含めて運営収支を改善する工夫をする、築地はその文化価値(主として目利き価値)をなくさない方法を築地において追求したい、ただし(築地は)その大半の空間ポテンシャルを開発または権利売却によってできる限り回収する、というものであった。これは今回の小池方針と割と近いところがある。ただ、市場が築地に「戻る」なのか「戻る部分が多少あるかもね」なのか、そのあたりの意図がわかりにくいので、それによってだいぶブレる話ではあるし、そもそも自分の知ってる情報は不十分なので、ちゃんとした判断まではできないわけだけど。
僕は先日の小池方針については超総論的にはポジティブなんだけど、疑問や懸念不安はいろいろあるし、何にせよ小池さんの言い方・出し方はいまいちだったように思う。今回の発表に至る流れ、今回の話における言葉使い(ブランドって軽く言い過ぎ!とか、ワンダーランドってダサい!とか)もそうだが、今までの検討や発信のプロセスも含めて、やっぱり批判が湧いてもしょうがないよな、と思う。確かに一連の流れと言い方だと「選挙しか考えてないだろ」「中途半端で二兎追うんか」と、いかにも言われそうな感がある。でも僕自身は、この方針自体が保身だの選挙対策だのといったことだけでできたものではなく、都としてベストな判断をしようというまともなスタンスがあってのものだろうとは感じている。
不安というのは一言で言えば「ゴールの姿がちゃんとイメージできてなさそう」ということ。それは豊洲の今後の利用形態についてもそうだが、それ以上に築地の今後の開発にどのようなエッセンスと戦略が必要であるかの本質的なイメージがまだなさそうに感じること、そしてそれが良い形で見えたとしても、今の都の体制や構造的に、実現のハードルがめちゃ高そうであることも。僕は今回出た方針が、うまくできればよい答えになる可能性があるように思っているけど、下手するとだいぶマズくもなるものだと感じている。(むしろこの基本方針てDay1仮説だよねみたいな)
ともかくこの話はなかなかに複雑で、豊洲の収支にしてもシミュレーションの設定によって数字はかなりブレるし、市場機能以外のかたちまで含めるならばなおさらである。築地の再開発も、そのやり方次第で経済価値はめちゃくちゃブレるし(ただのオフィス開発とかじゃないので・・)、文化価値ブランド価値っていうのも長期的な潜在価値の算定はされていない。土地を貸したら地代160億とかいうのも多分もっと低い気がするし、もちろん未来の変動もある。築地売らないで金はどうするんだ!という議論にしても、バランスシート的な話で言えは土地で持つか金で持つかという話であって、あくまで利回り比較じゃんという見方もありえるだろう。もちろん都が築地土地を担保にしてもファイナンス不可能だというなら別だけど。
どのような形とプロセスでブランドの源泉(仲買の力)を活かしていくべきかも、市場機能を分けることがいかなるかたちで可能なのかについても、まだ具体性のある説明は見たことはないので、そこがわからないと安心はできないなといったところ。
築地豊洲の話は、そうした諸々の「まだ見えてない」前提次第でまだまだ大きく結論が変わってもおかしくない問題に思える。僕としてはそれらの色々なイシューについてどんどん検証と公表が進んで、長期的な最適解がやっぱりここにあるね!と思える状況に早くなったらいいなと思うし、自分でも掘ってみるつもりである。
話は戻るが、最初からどちらかに味方する前提の意見ばかりといのは、加計学園の話も同じだと感じている。自民党や安倍さんは、反対派が言うほど悪意に満ちてはいないように思う。たしかに公共事業を見ていると、ある程度「この案件はここがやるように仕向けていこう」というのがないと何でもかんでも「安い方で決まり!」となっちゃうね・・っていうのはいつも思うことではある。しかし今回のはコネや忖度の要素は少なからずあっただろうし、それは当然批判されるべきで、「政治とはそういうものだ、官僚だけに任せていては正しいことも進まない」と言ってしまっては世の中の成熟は進まない。ちゃんと批判して、でも突っ込むだけの野党もちゃんとディスされて、それらを通して選挙して、一時的には「あちゃ〜」的な政権になっても仕方ないとも思っている。
いずれにせよ市場の件は、面白く新しいなにかが生まれることを願ってます・・